人の温かさに惹かれ、小布施らしい築120年の蔵で夢の焙煎所をオープン。
マルテ珈琲焙煎所 鈴木 芳彦さん・有子さん
小布施町の中心部ながら、蔵造りの建物が並ぶ静かな空間。その一角にある「マルテ珈琲焙煎所」の鈴木芳彦さん・有子さん夫妻は2015年に2人の子どもたちと小布施に移住しました。静岡出身の芳彦さんは、それまで東京で15年ほどグラフィックデザインやインターネット関連の会社に勤務。東京出身の有子さんは元同僚で、2010年に結婚する際、有子さんの親族が暮らす小布施に挨拶に来たのが、芳彦さんにとって初めての小布施でした。
「それまで小布施町のことを知らなかったのですが、面白い町だと感じました。街並みにも魅了されましたが、何回か訪れるうちに、住民の皆さんが観光目的で来ている私にも分け隔てなく接してくれ、おすすめの場所やお店を案内してくれるところが魅力的だと思ったのです。町全体で訪問する人に楽しんでいってほしい、という気持ちを感じました」
そんな芳彦さんがコーヒーに深く興味を持つようになったのは、東京に住んでいた頃。近所に自家焙煎のコーヒー店があり、初めておいしいと感じるコーヒーに出会ったと言います。その店に通って少しずつ焙煎の勉強を始め、試行錯誤の末、豆の個性を考慮しながらも飲みやすい味に焙煎する方法に至りました。
こうして4年ほどの準備期間を経て、小布施への移住と開店を決意。小布施らしさを感じる築120年の蔵にコーヒーを製造・販売する焙煎所をオープンしました。お店の形態を「カフェ」ではなく「焙煎所」にしたのは、自宅や会社など好きな場所でコーヒーを飲んでほしいとの思いからです。店名の「マルテ」は、芳彦さんの実家が営んでいた製茶業「マルテ製茶」の屋号から。おいしいものを作ることへの憧れと「お茶のように気軽に飲んでほしい」という願いが込められています。今では県外の常連のお客様もいらっしゃるそうです。 「小布施には県内外、また海外からもたくさんの方が観光に訪れます。繰り返し訪れる方が多いのはこの町に住む人が外から訪れる人を温かく迎えているからだと思います。私たちも店を通じて出会う方々に小布施の良さを知っていただけるように努力していきます」お二人の充実した日々が伝わってきます。
