中島千波について
中島千波(1945~)
日本画家、中島千波は、父中島清之の疎開先であった小布施で1945年に誕生しました。日本画家として院展で活躍した父を追うように、東京藝術大学に進学、日本画を学びます。学生時代は既成の日本画にとらわれない新しい日本画の創造をめざし、ときに反発しながらも制作を行いました。社会に対する疑問、怒りがのちにライフワークとなる「人物画」のシリーズ作り出しました。
その一方で花鳥画も得意とし、桜、牡丹は彼の代名詞の花といっても過言ではありません。「本物より本物らしく描く」という花々は、どの作品も生き生きと額の中で咲き誇っています。伝統を大事にしながら、新聞や雑誌の挿画、表紙絵にも取り組み、最近では天井画の制作や新しくなる歌舞伎座の緞帳を描き、話題は尽きることがありません。
スケール、フィールドは違っても、基礎であるデッサンは丁寧かつ正確です。当館では本画とともにデッサンも展示することで、制作過程などを垣間見ることができますが、卓越したデッサン力は、目を見張るものがあります。
才能、そして努力を兼ね備え、これからも躍進する中島千波。これからも私達を魅了し続けることでしょう。
略歴
昭和20年(1945) | 10月21日、中島清之の三男として長野県小布施に生まれる |
昭和44年(1969) | 東京藝術大学美術学部日本画科卒業 |
第54回院展初出品、初入選「窓」 | |
昭和46年(1971) | 東京藝術大学大学院修了 |
昭和49年(1974) | 現代日本美術展(神奈川県立近代美術館)に「草の主」出品、同館に収蔵される |
昭和52年(1977) | 第32回春の院展、第62回院展でそれぞれ奨励賞受賞 |
昭和54年(1979) | 第5回山種美術館賞(山種美術館)「衆生・視」優秀賞受賞 |
昭和55年(1980) | 第2回日本秀作美術展(日本橋・高島屋)に選抜出品 |
昭和58年(1983) | 裸体画100年の歩み展(国立国際美術館)に出品 |
昭和59年(1984) | 横の会結成に参加(以後平成5年の最終回まで出品) |
昭和62年(1987) | NHKテレビ「きょうの料理」のテキスト表紙絵を3年間担当 |
昭和63年(1988) | 宮尾登美子著『きのね』(朝日新聞)の挿絵制作 |
平成2年(1990) | 第1回両洋の眼展(日本橋・三越)に出品 |
三溪園臨春閣第六室襖絵「不二と桃花図」「松林図」完成 | |
平成4年(1992) | 永井路子「姫の戦国」(日本経済新聞社)の挿絵制作 |
おぶせミュージアム・中島千波館開館 | |
平成5年(1993) | 中島千波展(北澤美術館) |
中島千波展-いきなり拒絶反応しないで「なんでこんな絵を描くの」と思ってくれればいいんです-(横浜市民ギャラリー) | |
平成6年(1994) | 東京藝術大学美術学部助教授に就任 |
鎌倉鶴岡八幡宮 斉館貴賓室床の間画 孔雀図制作 | |
平成7年(1995) | 中島千波の世界展(パリ・三越エトワール) |
歌舞伎座緞帳「淡紅白梅」が完成 | |
平成8年(1996) | 第1回「目-それぞれのかたち展」(日本橋・三越) |
平成10年(1998) | 日本美術院退院 無所属となる |
平成12年(2000) | 東京藝術大学美術学部デザイン科教授に就任 |
平成14年(2002) | NHK教育テレビ番組・NHK趣味悠々「中島千波の日本画基礎講座 花を描く」の講師をつとめる |
平成16年(2004) | 2年前から制作していた成田山東京別院深川不動堂の内仏殿大日堂の格天井絵が完成 |
平成17年(2005) | 還暦記念「中島千波の世界展」開催(日本橋高島屋ほか横浜・京都高島屋、おぶせミュージアム・中島千波館、北澤美術館、新宿タカシマヤを巡回) |
平成18年(2006) | 小布施名誉町民に選出される |
平成20年(2008) | 中島千波展〈花がたり おもちゃシリーズ〉(日本橋高島屋ほか、京都・名古屋・大阪・新宿・横浜・高崎・岐阜・米子の高島屋を巡回) |
平成22年(2010) | 中島千波の花菖蒲の世界展〈平成花菖蒲〉(日本橋・三越本店新館) |
四曲七隻屏風「神池花菖蒲」が披露された。福岡、松山、高松三越巡回。 | |
第15回21世紀の目展〈目-それぞれのかたち〉(日本橋・高島屋ほか大坂・京都高島屋巡回)この15回をもってこの展覧会を解散。 | |
平成23年(2011) | NHKBSプレミアム「旅のチカラ」「まぼろしの牡丹 中国・玉龍雪山」の取材のため中国雲南省・玉龍雪山を訪れる |
中野嘉之、畠中光享とともに公募グループ展「Artist Group風」を立ち上げる | |
平成24年(2012) | 第1回「Artist Group風」(東京都美術館) |
中島千波展宮尾本「平家物語」の挿画と花々の宴(ウッドワン美術館) | |
おぶせミュージアム・中島千波館開館二十周年記念 | |
「横浜美術館所蔵作品による中島千波・清之親子展」 | |
東京藝術大学退官展(東京藝術大学美術館) |
作品
中島千波「坪井の枝垂桜」1999年 四曲一隻屏風 おぶせミュージアム・中島千波館蔵
中島千波「’92*眠→空」 1992年 おぶせミュージアム・中島千波館蔵
中島千波「秋桜模様」2008年 おぶせミュージアム・中島千波館蔵
中島千波「玉龍牡丹」 2011年 おぶせミュージアム・中島千波館蔵